教育委員会としてご担当されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年度末は、来期の研修計画の見直しや具体的な落とし込みを行う時期でもあります。研修の主な目的は、教員の授業力や指導力を伸ばすこと、社会環境や学校業務の変化に応じた知識を身につけることです。
今回は以下3点について情報提供させていただきます。(1)研修ノウハウ (2)ICT利活用研修 (3)情報モラル・情報セキュリティ研修
(2013年3月公開)
研修運営の不安は「ICT活用実践ワークショップ運営・実践ガイドブック」で解消
地域・校内研修を担当された教員の、実際の進め方や注意点などのノウハウがまとめられている。
パナソニック教育財団の「ICT活用実践ワークショップ 運営・実践ガイドブック」
をご覧になられたことはありますか?地域の全学校向け研修や校内研修を行う上でのノウハウがまとめられた小冊子です。リンク先よりダウンロードできます。「ICT活用実践ワークショップ 運営・実践ガイドブック」(パナソニック教育財団)通常、教育委員会ご担当者は他業務を行いながら、自治体内全学校への研修運営を
取り仕切ります。そのため、運営に不安のある方もいらしゃるのではないでしょうか。ガイドブックでは、たとえば下記のような運営におけるポイントが記述されています。
・研修会のゴールを定める。ゴールは実態を考慮すること。(授業実践に即役立てる、
ICT活用の悩みを教員間で共有する、参加者が他教員への活用を広めるなど)
・参加者が能動的に取り組める工夫を研修に取り入れる。
・ワークショップを行う場合は、参加者のレベルを参考に振り分け、
グルーピングを念入りに行う。ファシリテータ-にも事前に情報共有をする。
・規模の大きな地域研修は、プロジェクト化し、役割分担を明確にする。
・学校向けICT活用研修では、各学校の教員ニーズを参考に研修題材とする。
・学習指導案を考える研修は、教材などICTの特性が明確化され、かつ、
授業全体の見直しにつながるので、質の高い研修となる。
魅力的な研修とは「授業で実践したい」「同僚に伝えたい」と思える内容です。
そのためには運営上、問題がないことはもちろんですが、
研修の内容面ではどのような工夫などがあるでしょうか。
ICTを使って「よい授業ができる」ことを伝える
児童や生徒に教えることを軸に、ICTをどう使えばよいか、質問すればよいか、考え方を研修に取り入れる。
それには、模擬研修や教材を作るワークショップ、教員間でのアイデア出しなどを行い、 機器を使って「よい授業ができる」ことを伝えるのが重要です。
たとえば、研修の中で実物投影機を利用するのであれば、 何をポイントに説明するのか、そのためには何を投映すればよいか、 どのような質問・指示を児童や生徒にするのかなど、 児童や生徒に教えることを軸にした考え方を教員に伝えることが望まれます。 機器の説明に留まらず、このように児童や生徒が授業内容に興味を持ち、 理解がより深まる教員研修が求められます。
情報セキュリティや情報モラルは身近な問題に思わせる
情報セキュリティは同じ県下・学校種別などの事故事例を盛り込む。情報モラルは自治体内の児童や生徒の危険な書き込みなどを研修材料に。
ICT利活用の促進を図る一方、情報セキュリティや情報モラルに関する研修も大切です。
どちらも「他人事ではない」とメッセージを訴えるのがポイントです。
情報セキュリティに関しては、下記Webサイトが役立ちます。
都道府県別や学校種別で情報漏えい事故が検索できるので、
同じ県下の情報を研修に取り入れることもできます。
また、セキュリティ上の危険性を考えるイラストなどの資料を
有効に活用することで「情報漏えい事故は自分自身にも起こりうるものだ」と
教員に訴えかけられるのではないでしょうか。■学校情報セキュリティお役立ちWeb「今日もワンステップ!」(教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会)情報モラルに関しては、関心の高い教員は多いのではないでしょうか。
しかし皆さまは、児童や生徒が携帯ゲームサイトやSNS、プロフなどで、
どのようなことを具体的に行っているか、ご存知でしょうか。下記リンクは、インターネット上での児童や生徒の動向を監視・報告するサービスです。
結果を確認して現状把握できることはもちろん、自治体内の児童や生徒のSNS上での
書き込みなどを研修での題材とできます。全教員が現状や危険性を把握でき、
対策を考えるきっかけとなります。■学校ネットパトロール(株式会社JMC)
研修の質を確保するためにも、計画的な運営を
一部研修の外部委託も視野に入れつつ、
具体的な研修計画の立案をしてみては。
ICT利活用の推進や、社会・学校の環境変化に適応していくためには、
計画的な教員研修が求められます。しかし、4~5月中頃までは、
新年度に関する業務に追われてしまいがちです。研修の多くは7~8月に行われるので、
今から具体的な研修計画や運営体制の確立、内容作成の準備に取り掛かってもよい時期となります。
他業務を兼ねられているご担当者が多く、多忙となってしまいますので、
一部研修や運営面を外部委託されことも一つの選択肢となるのではないでしょうか。【リンク集】研修参考資料類 ・教員のICT活用指導力向上研修(文部科学省) ・学校におけるICT活用のための管理職研修プログラム(文部科学省) ・ICT活用実践ワークショップ運営・実践ガイドブック(パナソニック教育財団) ・学校情報セキュリティお役立ちWeb「今日もワンステップ!」(教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会)