東京都教育庁

課題
  • 授業でICTを有効活用したい
導入製品・サービス
    • その他
自治体規模
100校以上
プロフィール

東京都教育庁
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/

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取材日
2024年9月取材

東京都は2023年度より、不登校や日本語支援が必要な児童・生徒に対して、3Dメタバースを使った「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」(以下、VLP)」を提供。JMCは事業プロモーターとしてVLP事業全体の管理・運営を担当しています。2024年度は、導入自治体等が30に増えました。導入自治体が増加した背景や初年度の成果など、東京都教育庁総務部の瀧田主任指導主事と池田統括指導主事にお話を伺いました。

次の一手として導入する自治体も増え、成果を実感

東京都教育庁 総務部 瀧田健二主任指導主事
▲東京都教育庁 総務部 瀧田 健二 主任指導主事

2023年度は、9自治体等で始まったVLP事業は、2024年度には30自治体等へと拡大。その背景について、瀧田氏が語ってくださいました。「昨年度の末に、導入自治体や関係各社が参加する『成果報告会』を開催しました。この報告会は、新規導入を考えている自治体にもご参加いただきました。この報告会を視聴して、不登校や日本語支援対策の次の一手として興味を示していただき、VLPを選択肢として考える自治体が増えたのだと思います」。

試行錯誤を重ねながらVLP事業をここまで進めてきたことが、一つの成果だと話すのは池田氏です。「3Dメタバースを一つの居場所として感じてくれる子供がいるということが分かりました。VLPをきっかけに、教育支援センターへの登室につながった例も出てきています。何も働きかけなければ、その子供たちはどこにもつながることができなかったかもしれません。各自治体の先生方、支援センターの指導員の皆さんなど、さまざまな方の努力で、子供たちを支援できていることは大きな成果だと思っています」。

子供たちの継続利用につなげる、自治体が各々のアイデアで周知を工夫

初年度から導入している自治体では、子供や保護者への説明の仕方やアカウント配付へとつなげるノウハウも蓄積されてきました。「周知の方法もそれぞれ工夫されています。チラシやポスターを作成して、配布したり、掲示したり。一般の方の目にふれるようにホームページで紹介している自治体もあります。ある自治体では、保護者向けに説明会を開催し、大きな反響がありました。どの自治体も子供たちの継続利用につなげたいという強い思いがあるので、引き続きVLPの周知を積極的に働きかけていくと聞いています」(瀧田氏)。

「VLP導入自治体同士の連絡会では、情報交換も活発に行っています。そこで得た情報を参考にして、例えばVLP内で運動会を行うなど、活用の場面も広がっています。子供たちを支援する一つのツールとして、浸透していくとうれしいです」(池田氏)。

一方、先生に対しては、どのように周知しているのでしょうか。「中学校の先生方の研究会の中で、VLPの研修を開催した自治体もあります。先生方に広くVLPを知ってもらう機会になったのではないかと思います」(池田氏)。

東京都教育庁 総務部 デジタル推進課 池田守 統括指導主事
▲東京都教育庁 総務部 デジタル推進課 池田 守 統括指導主事

子供たちの居場所作りを促進、保護者の不安に応えるイベントも開催

自由に過ごせる空間(VLPの様子)
▲自由に過ごせる空間
VLP空間ならではの交流の様子
▲空間ならではの交流

児童や生徒のVLPでの過ごし方もさまざまです。「居場所として、VLPで1日を過ごす子供もいると聞いています。電子図書館とVLPのアカウントを紐づけて、VLP内で自由に本を読める自治体もあります。初年度に、オンラインイベントも実施したのですが大変好評でした。友達と話したり、空間内ならではの交流やゲームをしたり。もちろん勉強もできます。オンライン支援員と話すことで、コミュニケーションの練習にもなります。子供たちが自由に過ごし方を考えて、楽しんで使ってくれていることがうれしいですね」(瀧田氏)。

JMCでは、VLP事業の一環として不登校の児童・生徒や保護者向けに、さまざまなオンラインセミナーを開催しています。「不登校の子供を持つ保護者には学校の情報が入りにくく、進路の悩みが大きいため、『多様な進路セミナー』は大きな反響がありました。JMCは、積極的にアイデアを提示してくれるので助かっています。ある自治体では、GIGA端末を使えていない子供たちがVLPに入れないという問題を解決してくれたこともありました。GIGA端末を『自分の文房具として自由に使っていいんだ』と認識してVLPを活用してくれれば、それは大きな一歩です」(瀧田氏)。

必要とする児童・生徒へ、VLPで支援を届けたい

VLP事業も2年目を迎え、第一フェーズの区切りが見えてきました。「VLPを活用してくれる子供たちを増やしていくのが当面の目標です。必要とする子供が、必要な時に気軽に立ち寄れる居場所となるよう、各自治体の取り組みを応援していきたいです」(池田氏)。

これから不登校支援や日本語指導を推進したい自治体に向けて、瀧田氏からメッセージをいただきました。「不登校の児童・生徒は年々増えていますが、各自治体も新たな支援はできないかなど、さまざまな視点から検討しているのが現状ではないでしょうか。東京都では、新しい選択肢としてVLPを考える自治体が増えました。全国の自治体でも次の一手をお探しなら、この3Dメタバースの活用をおすすめします。迷っていたら、ぜひチャレンジしていただきたい。導入から、周知・アカウント配付や空間内でのサポートなどを含めた運用について、もし現状が知りたいという場合は、東京都にご相談をいただければ、お答えさせていただきます」。

池田守 統括指導主事と瀧田健二主任指導主事