東京学芸大学附属竹早中学校 (東京都)
- 課題
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- 授業でICTを有効活用したい
- 導入製品・サービス
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- その他
- 自治体規模
- 9校以下
- プロフィール
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東京学芸大学附属竹早中学校
〒112-0002 東京都文京区小石川4-2-1
http://www.u-gakugei.ac.jp/~takechu/index
- 印刷用資料
- ダウンロード (PDF:286KB)
- 取材日
- 2017年1月
次期学習指導要領が小学校では2020年度、中学校では2021年度に全面実施され、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」を中心とした学校に変わろうとしています。東京学芸大学附属竹早中学校では、教室に大型提示装置や実物投影機を配置し、さらに一部の教科ではタブレット端末を活用しています。これらは主体的・対話的で深い学びを生み出すことにも役立っています。竹早中学校の勝岡副校長、社会科の上園先生、家庭科の酒井先生にお話を伺いしました。
以前からICTをアクティブ・ラーニングに役立つツールとして活用
次期学習指導要領では、「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」が言及されています。
社会科の上園先生は、「以前から生徒の知識を深め、さらに実践的なスキルを得られるように、生徒が自ら考えたり、学び合ったりする授業を行っていました」と話します。しかし、これには先生方は経験を重ねる必要があるそうです。「私の身近な先生は、いわゆるアクティブ・ラーニングを当たり前のように行っています。また、最適な授業方法を検討する中で、ICTを黒板やチョークのように身近なツールの一つとして考えています」と、上園先生は話します。
タブレット端末を片手に学校探索し、資料作成、発表(家庭科)
家庭科の酒井先生は、「自然災害への備えについて学習する授業では、気軽に思考が可視化でき、表現できるアプリケーションを使いました。生徒たちは、タブレット端末を持って学校を探索し、地震が起きた時に危険な箇所や安全対策がされている箇所をタブレット端末で撮影しました。撮影した後は、そのアプリケーションを使って発表資料を作りました」と話します。タブレット端末があれば端末一つで一連の作業が行え、授業時間が有効活用できる点にも魅力を感じられているそうです。
「生徒は、『下駄箱は固定されているけれど、被服室のキャビネットは固定されていない』、『この場所に非常口がある理由は?』など、普段気に留めない部分に気が付きました」と、酒井先生は話します。生徒は、酒井先生が考えていたよりも短時間で発表資料を作り、タブレット端末の画面を大型提示装置へ転送して、そのほかの班に共有したそうです。
ICTで作曲家の背景を可視化し、曲の成り立ちを検討(音楽)
勝岡副校長は、「音楽の授業では、先生が作曲家の故郷の風景や町並み、その土地の文化を大型提示装置に映し、生徒に曲の成り立ちを班で考えさせました。作曲家の背景を可視化したことをきっかけに、生徒間で学び合いが起こり、生徒の知識や理解、思考を深めることができた例だと考えています」と言います。勝岡副校長は、ICTが先生方や生徒の伝えたいことを可視化したり、共有化したり、表現したりすることに力を発揮すると考えられているそうです。
教育実習生が頻繁に訪れる竹早中学校ですが、酒井先生は、「実習生は自分のスマートフォンを使って、ミシンや洗濯、みじん切りの仕方を動画で撮影し、生徒へ見せて教える場面もあります。実習生は、ICTを使って伝えるべきことを生徒へ共有し、さらに興味関心を引いて印象付けられました」と話します。
JMCは、ICTを使った先生方の取り組みをサポート
酒井先生は、「教育の情報化を支援する株式会社JMCには、各タブレット端末の画面を大型提示装置に映して、生徒が手軽に発表できるようにしたいなどの相談をしました。自分の実現したい授業をICTの側面からサポートしてくれるのが良いですね」と、酒井先生は言います。
学校のシステム設計やICT支援員の展開など学校ICTに特化した事業を行っているからこそ、JMCには安心して話ができると考えられているそうです。
ICTを使って生徒の心に残る授業を行う
勝岡副校長は、「学校のあちらこちらで、周りの先生のICT活用方法を参考に、授業で実践する先生の姿を見るようになりました。酒井先生のように、ICTを使ったアクティブ・ラーニングを実践している先生も多数います」と話します。勝岡副校長は、ICTは生徒の心に残る授業が作れるツールであり、主体的・対話的で深い学びを創り出すのに有効だと考えられているそうです。
次期学習指導要領の全面実施は間近に迫っています。この限られた時間の中で移行準備するための手立てが、竹早中学校の事例にはあるのではないでしょうか。