南足柄市立向田小学校 (神奈川県)
- 課題
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- 授業でICTを有効活用したい
- 創造的・協働的な活動ができる空間を作りたい
- 余裕教室などの空間を有効活用したい
- プログラミング教育を推進したい
- 導入製品・サービス
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- 学びの空間デザイン「新たな部屋」
- 自治体規模
- 9校以下
- プロフィール
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南足柄市立向田小学校
神奈川県南足柄市向田555番地
http://mukasho.ed-minamiashigara.jp/
- 印刷用資料
- ダウンロード(PDF:1090KB)
- 取材日
- 2022年9月
株式会社JMC は、ICT を活用した多様な学びの可能性を広げる空間づくりに着目し、新しい時代の学びを実現する「新たな部屋」を整備する取り組みを進めています。教育委員会や学校、そして先生方と一緒に、これからの学びに必要な空間をつくっています。
机にも椅子にもなるカラフルな「スツール」、奈良・東大寺の大仏の手を実物大(約2.5m)で映し出せるほど大きなフルスクリーン、さらに元音楽室ならではの音響と防音設備まで完備した「新たな部屋」(名称:STEAM教室)で、目を輝かせながら学ぶ子どもたち。一人1台端末を活用した新しい学びを後押ししてくれる、「新たな部屋」を導入した神奈川県南足柄市立向田小学校の渡辺校長先生に話を伺いました。
端末活用の可能性を広げてくれる構想
神奈川県南足柄市立向田小学校(以下、向田小)では、一人1台の端末を導入した当時、効果的な活用方法をあまり想像できていなかったと渡辺校長先生は語ります。その矢先にJMCの「新たな部屋」の構想を知り、「これは何かおもしろいことができそう」という期待と活用イメージの広がりを感じ、導入を検討し始めたそうです。
渡辺校長先生がイメージしたのは、Google マップ™ を大型スクリーンに映し出して、町探検をしたり、日本中や世界中を旅行したり、能や音楽をライブ感覚で鑑賞できる空間だったそうです。「映像を見たり鑑賞したりすることはテレビ画面でもできますが、巨大なスクリーンと大音響が合わされば迫力や臨場感が違います。夢のような空間だと思いました」(渡辺校長先生)。
「こんなふうになれば」という夢が部屋づくりのベースに
「新たな部屋」の構想は、「夢と希望を持って、粘り強く自分の道を切り開く子ども」を育成するという南足柄市の教育理念とも一致。導入に向けてJMCとの意見交換がスタートしました。向田小からの提案内容のベースは、こんな学校になればいいな、という「夢」だったといいます。
「たとえば私は音楽や演劇などの芸術が好きなので、それを臨場感あふれる環境で子どもたちにも体感して欲しいと思いました。大人が夢を語れなければ、子どもだって語れません。新たな部屋でやってみたいことを、夢物語のように次々と提案しましたが、JMCさんは、私たちがやりたいことを真摯に受け止めてくださり、それを実現するためにプロならではのアイデアを出し、形にしてくれました」(渡辺校長先生)。
そうして誕生した向田小の「新たな部屋」は、想像していた以上の空間だったと渡辺校長先生は語ります。「『新たな部屋』のお披露目会では、オーケストラの演奏を鑑賞しました。従来の音楽室で行う鑑賞の授業では、演奏を聴くのみでした。しかし大型スクリーンを見ながら大音響で鑑賞すると、どの楽器がどんな音を奏でているのかがより明確に分かります。こうした体験がきっかけとなり、音楽好きになる子がいるかもしれません」(渡辺校長先生)。
できることの選択肢が増えた
向田小では、社会・生活・体育・総合など、さまざまな学習活動や先生の校内研修などで「新たな部屋」を活用していますが、その中でも印象に残っているのが社会科見学だそうです。
「社会科見学といえば、現地に行って見学というスタイルですよね。ところがコロナ禍でそれも制限されてしまいました。そうした状況の中で、教育委員会からリサイクル会社と学校をオンラインでつないだリモート見学を行ってはどうかという提案をいただきました。『新たな部屋』の大型スクリーンで見ると、全員が最前列で見るような迫力がありますし、通常の見学では入れない場所も、カメラで映して見せてもらうことができます。現地に行くからこそ分かることがあるように、『新たな部屋』を使ったオンラインならではのメリットも浮き彫りになり、社会科見学のやり方が広がったことは、大きな発見でした。さらに、オンラインなら引率などの準備やバスの手配も必要なく、経費削減にもつながります」(渡辺校長先生)。
子どもたちのアウトプットへの期待感
順調に「新たな部屋」を活用している同校ですが、課題もたくさんあると渡辺校長先生は語ります。「今は、先生が試行錯誤しながら『新たな部屋』を授業で活用していますが、子どもたちはまだ受け身の状態です。本校が期待しているのは、子どもたちが『新たな部屋』の使い方をインプットしたあとの発想です。たとえば『昼休みにダンスの練習をしたいから体育館を使っていい?』と子どもたちが先生に聞きに来るように、子どもたちから新たな部屋をこんなふうに使いたい、と言ってくるようになればいいなと思っています」。
さらに、渡辺校長先生はこんな夢も思い描いています。「『新たな部屋』で体感したことは、多かれ少なかれ子どもたちの心に残ると思います。そこから何かに興味を持ち、今後の学びや目標、仕事に結びつけていく子どもが1%でもいれば、素晴らしい成果だと思うのです」。
向田小では、渡辺校長先生が主導して「新たな部屋」を導入しましたが、その後は、情報教育を担当する先生が中心となり、活用の仕方について校内研修会を開いています。また、先生同士が日常的に活用状況や子どもたちの反応などを話題にし、情報を共有しています。「『新たな部屋』を導入したからといって、すぐに明確な効果が出るわけではありません。だからこそ地道な活用を共有し、積み重ねることによって少しずつ前進していくことが大切だと思っています」(渡辺校長先生)。
考え方一つで導入のハードルは低くなる
導入へのアドバイスも語ってくれました。「こんな部屋があればいいなと思ったら、まずは今ある学校の設備をどのように活用しているかを見直し、十分ではないことやより良くしたいことを明確にしてみてください。フル装備でなくても、一部のパーツ、たとえば大型スクリーンの設置だけでも授業のスタイルは格段に進化します。必要なパーツごとの導入を模索すれば、各学校に適した『新たな部屋』が生まれ、子どもたち自ら夢を持つきっかけとなるのではないでしょうか」(渡辺校長先生)。
※Google マップは、Google LLC の商標です。