横浜市立鴨居中学校 (神奈川県)
- 課題
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- 授業でICTを有効活用したい
- 導入製品・サービス
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- タブレット端末活用支援
- 自治体規模
- 100校以上
- プロフィール
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横浜市立鴨居中学校
神奈川県横浜市緑区鴨居五丁目12番35号
- 印刷用資料
- ダウンロード(PDF:344KB)
- 取材日
- 2021年2月
横浜市では、特別支援教室を「集団では学習に参加することが難しい児童生徒が、一時的に在籍学級を離れて、落ち着いた環境で学習するためのスペース」と位置付けて、各校に設置しています。横浜市立鴨居中学校では、ICT教材や学習支援員を取り入れ、生徒一人ひとりに応じた支援と個別学習を柱にした居場所づくりを行っています。
不登校だった生徒が毎日登校できるようになった新しい取り組み
市情報教育実践推進校に指定されている鴨居中学校では、2019年6月、横浜市内で最初に個別学習Web教材のデキタスを特別支援教室「和ルーム」に導入しました。同10月には、経済産業省「未来の教室」実証事業にも参画し、民間学習支援員のサポートを開始しました。
齋藤校長先生「和ルームの生徒は、学習に不安を抱いている生徒も多いため、マイペースに学習ができ、定着して通える居場所づくりが課題でした。課題を解決するため、JMCの学習支援員にICT機器の使い方や生徒のサポートをしてもらいました。すると不登校だったある生徒が、週2回、3回と登校するようになり、ついに毎日来られるようになりました」。
生徒が心を開いて話せる学習支援員の存在
民間学習支援員が生徒のサポートを始めたことにより、先生や生徒にさまざまな変化がありました。
齋藤校長先生「学習支援員が生徒の体調管理や学習の進捗管理などをしてくださるので、教師の負担も大幅に軽減されました。生徒一人ひとりの学習計画を長期的に立て目標や課題を明確にして、学力向上に努めてくださっています」。
中村先生「さまざまな悩み事を抱えている生徒に寄り添って対話をしてくださっています。生徒も心を開いて、教師には言わないことも話しているようです。生徒にとって心から安心できる居場所になっているのを感じています」。
楽しみながら自分のペースで学べるICT学習教材でやる気もアップ
ICT教材を使用するようになってから、生徒のやる気にも変化が出て、学ぶ姿勢が以前よりも積極的になりました。
中村先生「生徒は、学習動画を見ながら楽しんで学習し、理解を深めているようです。各自のレベルに合わせて、マイペースに学んでいます。人には知られたくない小学校の学び直しなども一人で進められるのは利点ですね。デキタスの問題は、何回でもチャレンジできます。1回目、2回目がダメでも3回目は解けるようになったと、達成感を感じられるプロセスが学習には重要だと思います」。
齋藤校長先生「生徒の一日の記録は学習支援員が、学習管理アプリに書き込んでカルテのように保管しています。教師はいつでも閲覧できるので、その都度確認しています。生徒の個人情報を学習支援員とどこまで共有するのかなど、最初は守秘義務などについても課題がありました。その都度すり合わせをしながら、学習支援員と信頼関係を築くことができました。連絡事項や困りごとがある場合はすぐに情報交換をするようにしています」。
このような取り組みが反響を呼んで、他府県の先生が和ルームの視察に来ているそうです。
学習支援員や地域の方々の力を借りながら、一人ひとりを大事に育てる
齋藤校長先生「不登校の要因はさまざまな問題が複雑に絡み合っているため、いくつかの問題が解決したとしても、すぐに学校に来られるというわけではありません。今後も、より理解を深め、継続して最善の策を推進していくことが私たちの使命だと思います。地域でも、教育に関心を示してくださり、何かあったら力を貸したいと言ってくださる方が大勢いらっしゃいます。お金やモノというよりも、気持ちの部分ですね。学習支援員の皆さんもそうですが、教育に関する客観的なアドバイスやご指摘を頂くと、私たち教師にはすごく参考になります。これからも皆さんのお力を借りながら『鴨居中の生徒は、地球上どこにいても鴨居中の生徒である』ということを忘れずに、生徒一人ひとりを大事に育てていきたいと思います」。