座間市立東原小学校 (神奈川県)
- 課題
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- 授業でICTを有効活用したい
- 創造的・協働的な活動ができる空間を作りたい
- 余裕教室などの空間を有効活用したい
- 導入製品・サービス
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- 学びの空間デザイン「新たな部屋」
- 自治体規模
- 10校~29校
- プロフィール
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座間市立東原小学校
神奈川県座間市東原2-6-1
https://higashihara-e.zama.school/
- 印刷用資料
- ダウンロード(PDF:17MB)
- 取材日
- 2022年9月
株式会社JMC は、ICT を活用した多様な学びの可能性を広げる空間づくりに着目し、新しい時代の学びを実現する「新たな部屋」を整備する取り組みを進めています。教育委員会や学校、そして先生方と一緒に、これからの学びに必要な空間をつくっています。
神奈川県座間市立東原小学校に導入した「新たな部屋」(名称:P’sラボ)のコンセプトは、「子どもが背伸びできる大人な空間」。コンセプトに込めた思いと「新たな部屋」を有効に活用するための工夫、そして今後の展望について、大谷校長先生に話を伺いました。
ICT化を加速させる空間を本気でつくりたい
座間市立東原小学校(以下、東原小)が「新たな部屋」の導入を決意するきっかけになったのは、今後の端末活用を考えていた大谷校長先生が、JMCの「新たな部屋」の構想に共感したからです。
「教室で端末を使うようになったのですから、従来のようなパソコン教室は必要なくなるでしょう。でも、教室の外にも、子どもたちが集まって主体的にICTを活用できる、これまでにない新しい環境があれば、もっといろいろなことができるのではないか。今こそ大人の本気を見せて、そんな本物志向の空間をつくろう、と思いました」(大谷校長先生)。
ワクワク感が学習意欲を高める
東原小が、JMC、座間市教育委員会とともにイメージしたのは、子どもや先生、保護者もワクワクできる空間でした。具体的には「小学校=子ども用=かわいい」ではなく、カッコよく洗練された空間。子ども扱いしない空間だからこそ、子どもが背伸びをし、自ら学びたくなる場です。
そうして完成した「新たな部屋」の名前は「P’sラボ」。パソコン、プログラミング、プロジェクター、プレゼンテーション、プロジェクトなど、Pを頭文字とするICT関連の言葉を象徴した名前です。「P’sラボ」には、可動式の五角形デスクや可動式チェア、大きなホワイトボード、Alexa、さらには発表者を照らすスポットライトも完備。自由な学びから本格的なプレゼンテーションまで可能な本物志向の大人な空間です。完成した部屋を初めて見た子どもたちからは、歓声が上がったそうです。
若手の先生に任せることで、学校現場の士気を高める
この画期的な空間の活用を、どのように進めていったのでしょう。大谷校長先生のスタンスは「トップが軸だけ決めて、あとは先生たちに任せる」でした。「トップがあれこれうるさく言うと、先生たちは引いてしまうと思うのです。学校にはパソコンが好きだったり、新しいモノが好きだったりという先生が必ずいます。やってみたいと手を挙げてくれた先生に任せることで、現場のやる気も増します。本校の場合は、ICTが決して得意ではないけれど、挑戦したいと言ってくれた若手の先生二人に委ねることにしました」(大谷校長先生)。
「スペシャリストに任せる必要はないのです」と大谷校長先生は言葉を続けます。「近年の教育現場は、ICT化だけでなく、総合的な学習の時間や外国語など、これまで先生たちが想像もしていなかったことをやらなければならない状況になっています。やらされ感を持つ先生も少なくありません。できる人だけが率先して行うと、自信がない先生はついていけないし、できる人に頼ってしまう。得意な人ではなく、普通の人が、試行錯誤しながら一生懸命にやる姿勢を皆で共有し、『これなら自分もできるかもしれない』という意欲を持ちながら、先生たちがチャレンジできるように現場のモチベーションを高めていくことが私の仕事だと思っています」。
教える、教わるという双方の意識を変える
さらに端末や「新たな部屋」の活用に関しては、子どもたちと先生が同じスタートラインに立って始める取り組みであることを、子どもたち、先生の双方に伝えました。「かつての学校現場は、すべて先生が主体となって指導する場でした。しかし、ICTに関しては先生にだって分からないことがたくさんありますし、むしろ子どもたちから教わるシーンが生まれるかもしれません。先生は教える立場、子どもは教わる立場という垣根をなくし、子どもたちが自由に新しいことに挑戦する。子どもたちにも『先生教えて!』ではなく、先生に教えてあげようぐらいの気持ちでみんなと先生が一緒に使えるようになってほしいと伝えました。互いに考え、教え合うことで主体的に学ぶ。『新たな部屋』はそんな可能性がぎっしり詰まった空間なのです」(大谷校長先生)。
東原小の「新たな部屋」では、子どもたちがスポットライトの下でPowerPointを提示しながら、大人と同じようにプレゼンテーションをしたり、端末の中に水族館をつくって大型スクリーンに投影し、まるで水族館の中にいるような感覚を味わったりするなど、普通教室ではできなかった新たな世界観があふれる学びを体感しています。課題を出すのは先生ですが、おおまかな指示だけ出して、あとは子どもたちに任せています。
特別な場所ではなく当たり前に存在し視野を広げる、発想が豊かになる場に
一方で、ICTを導入したといっても、学校現場での活用は遅れている、と大谷校長先生は語ります。
「私は日本の現状にとても危機感を持っています。経済的にも弱くなり、このまま何もしなければどんどん衰退してしまうのではないか。だからこそ、子どもたちが広い視野を持ち、自ら考え行動できるように、『新たな部屋』やICTをどんどん活用して、新しい発想につなげてほしいと願っています。教科や学びという枠を超えて、社会や日本、そして世界を見てほしい。本校の『新たな部屋』は保護者や地域にも開放されており、ほぼ毎日稼働しています。見学などももちろん大歓迎。いいな、と思ってくれる人を増やし、多くの学校で導入・活用が進むことで、教育現場の視野は必ず広がります。学校は、旧来の考えを大切にし過ぎて、改革を受け入れない傾向がありますが、GIGAスクール構想によって『変わる』準備が整った今こそ、これからの日本を担う子どもたちのためにも、大人が本気を出して新しいことに果敢にチャレンジしていきましょう」。
※Alexa は、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
※PowerPoint は、Microsoft グループの企業の商標です。