品川区立源氏前小学校 (東京都)
- 課題
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- 授業でICTを有効活用したい
- 導入製品・サービス
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- ICT支援員
- タブレット端末活用支援
- 自治体規模
- 30校~49校
- プロフィール
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品川区立源氏前小学校
〒142-0053 東京都品川区中延6-2-18
http://school.cts.ne.jp/genjimae/
- 印刷用資料
- ダウンロード(PDF:403KB)
- 取材日
- 2015年11月
JMCと学研教育アイ・シー・ティーは共同で、品川区内の学校の普通教室で「授業での調べ学習や協働学習での活用」や「家庭学習の習慣付け」など、タブレット端末を使った新しい学びをサポートしています。
平成26年9月から区内のICT活用推進校(小学校8校、中学校2校)では、子供たち一人に1台のタブレット端末が配付されています。これは区による「授業での調べ学習や協働学習での活用」と「家庭学習の習慣付け」を目的とした取り組みの一環です。子供がタブレット端末を自宅に持ち帰り、ドリルの宿題を行うことで「家庭学習の強化」が期待されています。源氏前小学校の勝進校長先生は、先生方に積極的にICTを使ってもらえるよう、さまざまな工夫をされています。「本校では、校内研究の研究授業だけでなく、自主研修会を実施したり、ICTを活用した教育推進校の中でもいち早くタブレット端末の家庭学習をスタートさせたりなど、積極的にICTを活用した教育活動を推し進めています」。
ICTが整備される前の授業にはもう戻れない
同校のタブレット端末には、家庭学習用コンテンツを配信できる、株式会社学研教育アイ・シー・ティーのトータル学習システム(以下、本システム)が導入されています。
本システムを活用した学習は、導入直後の平成26年9月から宿題や自習の時間に取り組まれてきました。5年1組担任の鈴木先生は、授業でも新聞づくりなど積極的にICTを活用しています。冬休みの宿題には、子供たちがタブレット端末を持ち帰り、写真付きの日記を作成しました。「ICTが整備される前の授業にはもう戻れない」とおっしゃる鈴木先生に本システムでの宿題を出す方法やその効果についてお伺いしました。
週に2回は、トータル学習システムでタブレット端末の宿題を出題
算数のプリントや漢字の書き取りなど、以前から毎日出していた宿題に加えて、週に2回は本システムで宿題を出しています。「5時間時程の水曜と、週末を挟む金曜は子供たちに時間の余裕があると考えて、タブレット端末の宿題を出しています」と鈴木先生。
「宿題に出すドリルの数によって、宿題の量を調整しています。多い時は、紙の宿題にプラスしてドリルを6つ出すこともあります」。
宿題を出すタイミングも重要です。「一日のうち1~2時間はタブレット端末を活用した授業を行っているので、その授業の終わりに宿題を配信するなどして、短時間でできるように工夫しています」と鈴木先生。
宿題をやってきたかどうかは、教員用タブレット端末からいつでも確認できる
本システムの導入直後は、紙の宿題と同様にドリル番号を指定して宿題を出し、授業の時間に宿題をやってきたかどうかを子供たちにドリルの画面を表示させて確認していましたが、3学期からは、学習履歴を蓄積するLMS※の機能を利用するようになりました。LMSでは子供たちの宿題の提出状況や正答率を一覧で確認できます。
宿題を出すときも先生はLMSを利用してドリルを指定し、子供たちはタブレット端末で本システムを起動するだけ。タブレット端末を活用した学習の合間に簡単に宿題を出す ことができます。宿題の点数などのデータは、学校でタブレット端末を起動した時点で学習履歴として蓄積されます。子供たちは宿題を提出する必要がなく、先生はタブレット端末からいつでも宿題の結果を確認することができます。
※LMS:学習管理システムLearning Management System。教材の配信や成績などを統合して管理する仕組み。
タブレット端末を活用した授業や宿題の配信を支えるICT研修員
株式会社JMCでは、ICT活用推進校全校にICT研修員を配置して、タブレット端末の活用をサポート。「教育現場の様子や教員の仕事の流れがよくわかっている会社なので、事前準備をはじめ、タブレット端末や本システムの操作研修、スジュールの調整など細やかに対応をしてもらえました、ICT研修員はタブレット端末を使い始める際にはなくてはならない存在でした」と勝進校長先生。本システムは、宿題で出題しているドリル教材のほか、学習百科事典や地図データ、国語・漢字辞典など授業で使える教材が豊富です。ICT研修員は、先生方のご要望をヒアリングし、教材やタブレット端末の使い方などを含めた授業案の提案から、タブレット端末の宿題を出す際のマニュアル作成なども行い、どの先生でもすぐにタブレット端末を使いこなせるよう支えています。
先生が出題した宿題を、子供たちはタブレット端末で受信。
出題はわずか1~2分で完了
グループ別に、それぞれの習熟度に合わせた教材や宿題を出すのも簡単
さらに3月には算数の習熟度別クラスごとに宿題を出す方法にもチャレンジ。本システムでは、あらかじめ作成したグループを指定して教材や宿題を配信できるので、習熟度に合わせて違う課題を出すこともできます。「グループの作成は、当日朝のわずか3分で完了。単元ごとに少人数のグループを組み直す場合も簡単です」と鈴木先生。本システムでは、紙のドリルと違い、在籍している学年の単元の問題だけでなく、すべての学年の問題に取り組めることも魅力といいます。「例えば、5年生の『割合』の問題は、4年生の『小数の掛け算・割り算』がわからないと解けません。4学年の紙のドリルは、別で用意する必要がありました」と、学年をまたいだ復習の課題を話してくださいました。本システムは、こうした復習の課題を解決する大きな助けになると鈴木先生は実感しています。
タブレット端末の宿題に前向きに取り組む子供たち。
採点が不要なのがシステムの良さ
「子供たちは『タブレット端末の宿題ならやるか』と前向きです。文字を書かなくてよいので、宿題が増えても負担感は少ないようです」と鈴木先生。さらに本システムでは、宿題が自動採点されるので、たくさん宿題を出しても、先生は翌日の採点が大変になることもありません。一方で、初めての試みであるタブレット端末の宿題を出すことに心配もあったそうです。「選択問題は考えなくても、ボタンさえ押せば宿題をやったことになってしまう。でも間違えた問題を繰り返し解ける『ミス問トライアル』があるので、100点になるまでやるよう指導しています」。宿題の出し方を工夫することで、採点が不要という本システムの良さを生かしながら、学習内容を定着させる宿題の役割を両立しています。
子供たち一人ひとりに適した学び、主体的に学習する子供たちの育成に努めたい
今後のさらなる活用についても、「より子供たち一人ひとりに適した学習を進めるために、ある単元のドリルを宿題に指定したときに、関連する既習の単元のドリルも選べるようになるといいですね」とイメージが膨らんでいます。「今後は、ICT研修員さんとも相談しながら校内の研修を行い、宿題配信の仕組みの活用を全学年のクラスに広めていきたいです」と鈴木先生。
「本システムとICT研修員のサポートの両方に、本校のICTを活用した教育活動を支えていただいた1年間でした。今後も、今まで以上に先生方がICTを積極的に活用することによって、子供たちが主体的に学習する授業や家庭学習を展開していきたいと思っています」と勝進校長先生。子供たちの習熟度別の学習や家庭学習をより充実させるために、タブレット端末と本システムの活用が、より一層進もうとしています。